つるブログ
クロツラヘラサギ/黑面琵鷺
2025.03.03

目次
クロツラヘラサギの軌跡―30年以上にわたる保護活動
學名:Platalea minor
English:Black-faced Spoonbill
IOC繁体字:黑面琵鷺黑
今でこそ知られるようになったクロツラヘラサギですが、1989年当時、その存在はほとんど知られておらず、世界の個体数もわずか300羽にも満たない状況でした。しかし、この鳥が台湾の環境保護運動の象徴となり、世界的な保護活動へとつながっていくきっかけとなる出来事が起こります。それは、台湾南西部にあるクロツラヘラサギの重要な生息地が、工業地帯として開発される計画が持ち上がったことでした。
この計画に対し、台湾各地の環境保護団体が立ち上がり、「この貴重な生息地を守らなければならない」と声を上げました。そして、これをきっかけに、クロツラヘラサギを守るための取り組みが世界的に広がっていくことになります。

クロツラヘラサギにとって世界で最も重要な越冬地、台湾
クロツラヘラサギは、毎年9月から10月頃に台湾へ飛来し、翌年の3月から5月頃まで滞在してから旅立ちます。台湾はこの鳥にとって、世界で最も重要な越冬地であり、なんと世界の個体数の半分以上がここで冬を過ごしているのです。
そして、台湾をはじめとした世界的な保護活動の成果もあり、1990年に294羽しかいなかったクロツラヘラサギは、2024年の調査では6,988羽にまで増加しました。そのうち、台湾で記録された個体数は4,135羽(約59.2%)。30年以上にわたる保護活動の成果が、確実に実を結んでいることがわかります。

そのほとんどが台湾南西沿岸部に集中
台湾に飛来するクロツラヘラサギのうち、実に90%以上が台湾南西沿岸部に集中しています。特に台南では、2,000羽以上が確認されており、台湾における最大の生息地となっています。
台湾では、クロツラヘラサギの冬の姿から春の旅立ち前の美しい繁殖羽まで、その変化を観察することができます。しかし、唯一残念なのは、台湾では繁殖の様子を見ることができないという点です。

30年にわたる記録、映画「守護黒面琵鷺」へ
そんなクロツラヘラサギの姿を30年以上にわたり記録し続けたのが、自然ドキュメンタリー監督の梁皆得(リャン・ジエダー)氏です。彼は東アジア各地を飛び回り、クロツラヘラサギの生態を追い続けました。そして、その集大成ともいえる作品『守護黒面琵鷺Caring for Black-Faced Spoonbill 』(クロツラヘラサギを守る)を2023年作製、公開し世に送り出しました。この鳥がたどってきた道のり、そしてそれを支えた人々の努力が詰まったドキュメンタリー。クロツラヘラサギがここまで増えた背景には、多くの人々の尽力があったことを忘れてはなりません。
これからもクロツラヘラサギが安心して暮らせる環境を守るために、私たちにできることは何か。そんなことを考えさせられる、貴重な物語です。

special thanks: staff James,Mr.Nakamura,Mr.Oh
=スタッフより=
2026年春、日本の方を対象としたバードウォッチングツアーを企画中です。詳細は追ってお知らせします。お楽しみに~